エッセイ 静かなドイツの森の窓から
「静寂時間」とは?
日祝日は終日、平日は午後1時から3時までと、夜10時から朝7時まで。
これらの時間帯には、掃除機をかけたり、洗濯機を回したり、家具を移動させて音を立てたり、ラジオやテレビの音を大きく流したりすることは禁じられています。
楽器の練習?ダメです。そんな大きな音鳴らしたら!
この規則を守らないと警察が飛んでくることもあります。
お昼の1時半ごろに大音量でCDを聴きながら悦に入りご機嫌だった私の部屋に、来ました、警察。
こういう話は決して珍しくないのです。
ひどい時は罰金5万ユーロ(約560万円)を請求される場合もあります。
日曜日に、家族からの「パパさすが〜。すごい!ありがとう」を聞きたくて、ひたむきな気持ちで庭の芝を草刈機できれいに刈り終えたところ、ご褒美ではなく多額の罰金請求書を受け取るという悲劇が起こり得るのです。
静寂時間帯がドイツの法律で定められているのは、個人個人の健康と健全な社会を保つためです。
長時間の絶え間ない音は「聴力を損なう」「精神的ストレスを受ける」危険性があり、騒音問題により人間関係の悪化を引き起こす可能性もあります。
人々はこの静寂時間帯には、閑静な森の中を散歩したり、馬に乗って草原を駆け回ったり、木漏れ日溢れる静かなオープンカフェや公園のベンチに座ってのんびりと過ごします。
大きなズウタイで無骨な印象を与えがちなドイツ人ですが、音に対して敏感で、隣人への細やかな配慮を持っています。
静寂時間帯はドイツ語で「ルーへ ツァイト (ルーへ=静寂、ツァイト=時間)といいます。
「ルーへ」という言葉には平和、平安、安息、息抜き、憩い、静謐などの意味もあります。
ドイツ人がもっとも好み頻繁に口にする言葉の一つがこの「ルーへ」です。
「ルーへ」への愛着がうかがえます。
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