エッセイ 静かなドイツの森の窓から
ドイツの「有給消化率」は100%で、1人当たりが年に取得する有給休暇平均日数は30日です。祝日(10日)と日曜日(52回か53回)の労働は禁止されているので、年間ほぼ100日の休日があります。
ドイツでは「休暇の最低日数に関する法律」があり、企業の管理職には、部下に有給休暇を完全消化させる義務が課されています。一方、社員は上司が組合から批判されないためにも全ての有給休暇を消費します。
それから、「病休」と「有休」は完全に区別されています。日本での一般的なケースのように病気になったからといって有給休暇を使う、ということはあり得ません。
もしも、バカンス中に病気になった場合は?
「有休」ではなく「病休」扱いになり、「健康になった後に有休を取り直す」ことになります。そもそも「有休」の目的は「趣味を楽しんだり、家族や友人達とリラックスする時間を共有したり、心身ともに休養するために使うもの」。負傷したり病気になってしまっては「休暇目的」が果たせないという識見なのです。
ドイツの年間平均労働時間は、約1300時間。日本よりも20%も短いのですが、労働時間あたりのGDP(国内総生産)は、日本の1,5倍もあるのです。
勤労の「長さ」ではなく「質」が重視されているドイツ。高い集中力を持って合理的かつ効率的、生産的に働いています。
近年は、「長期バカンス中に仕事のメールや電話を完全無視できない人がいる」ことが頻繁に論議されています。
「100%仕事から離れてバカンスを楽しむことにより自分らしさを取り戻し、もっと心に余裕を持って人生を楽しむべき 」という世論が年々高まっています。
「勤労の質」だけでなく、「バカンスの質」も改めて重要視され始めているのです。
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