エッセイ 静かなドイツの森の窓から
ドイツでは12 月31日と 1月 1日の2日間だけ花火が許可されており、12月最終平日 3日間という期間限定で販売されています。
3 日間の売り上げ高は約162億円。
花火の消費者は一般市民なのですが、スリルと興奮度の高い種類ばかりです。爆竹音と破裂音や飛行高度と距離が甚だしい種類に人気が集まっています。
花火がクライマックスを迎えるのは新年0時。
大晦日は夜8時くらいから友人同士で集まってパーティーをします。飲んだり食べたり踊ったり。
夜11時半を過ぎると皆で外に出ます。戸外でシャンパンを飲みながら花火をするためです。
町の中心部は人、人、人で溢れています。数えきれないくらいの人達が各々に花火をするので、煙で前が見えません。
ボーっとしていると、とんでもない方向から花火に打たれる場合もあります。
大晦日には必ず『ピーポーピーポー』という救急車音が絶え間なく鳴り響いています。
今年は霧の深い新年を迎えることになり、霧と煙で花火は見えず、連打する爆破音のみが鳴り響く深夜でした。
外気はマイナス5 度。
『花火に打たれるリスクを伴おうが、深い霧や冷気が凄かろうが、新年を明るく華々しく賑やかに迎えるためには、花火なしなんてあり得ないでしょう!?』というのがドイツの新年の迎え方です。
確かに『寒さや危険をも吹っ飛ばし、嫌なことは全部忘れて前向きに新年を迎えるぞ!』という凄いパワーを感じます。
誰もが『やったるで〜!』という気分になれます。
中世時代の習わしである『音を立てて悪を追い払い、悪のない良い新しい新年を迎える』という元々の由来は忘却の彼方へ消え去られています。
しかし、昔も今も変わらぬ気骨『新年を元気よくパワフルに迎える!』は健在です。
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