エッセイ 静かなドイツの森の窓から
シュツットガルトの「オペラハウス」では毎晩オペラやバレエが上演されています。地元民や観光客が来場し、約1400の客席は満席状態で会場は熱気に包まれています。
なぜここまでの人気を博しているのか? ソフト面とハード面のバランスがとても良く、その両方による満足度が大きいためです。
ソフト面においては、ほぼ毎年の「今年のベストオペラハウス」受賞歴と、バレエ団の世界的公知たるクオリティーの高さが人気の理由です。
演出家、音楽家、ダンサー、振り付師など全てにおいてハイレベルなのです。
ハード面での人気の理由は、建築物が文化遺産に指定されており、貴重で美しい建物であるということです。
白鳥が泳ぐ湖の畔に威風堂々とそびえ立つオペラハウスの姿を眺めると、誰もが「一度中に入ってみたい!」誘惑に捕われます。
中に入ると、大理石の床と柱、上品で厚みのあるブルーカーペットや華やかなシャンデリア、湖を見渡せるバルコニー、シャンパンのほのかな香り。
絢爛華麗なホール内だけでなく、ホワイエや回廊を歩くだけでも、建築物としての美しさや内装の統一感の素晴らしさに溜息がでます。
学生時代は毎晩オペラハウスに通っていました。
「赫々たる外観の建物の中に入って行く」ワクワク感や、「品位のある建築物の中にいれば自分の品格も上がっていくような」楽しい錯覚は、ハード面である建物の偉大さのお陰でした。
ソフト面であるパフォーマンスからの恩恵は、「ハイレベルの歌手やダンサーの動作や表情を自分の眼で観察する面白さ」でした。
20年前、学生券は約200円 。
現在は、学生券は約700円、一般券は約1000円から販売されています。
壮麗なドレス姿の人々も、汚れたジーンズと穴のあいたTシャツ姿の学生達も、至福と高揚感に浸り、今宵も会場は熱気に満ち溢れています。
0 件のコメント:
コメントを投稿