エッセイ 静かなドイツの森の窓から
振り返ってみると、「約10年前からの煎茶ブーム」が「抹茶ブームのルーツ」でした。
「煎茶は苦くて飲みにくい」という理由にて、一般人には広がりにくかったのですが、「フレーバー煎茶」がヒットしてからは需要が高くなりました。
「フレーバー煎茶」とは、茶葉に花や果実やスパイスを加えた煎茶です。
「 煎茶ブーム」により緑茶慣れしたドイツで今度は、約5年ほど前に抹茶がブレイクしました。
「MATCHA」という言葉を知らない人は今やいないと言っても過言ではないでしょう。
紅茶販売店やハーブティー専門店には必ず「MATCHA 」が販売されています。
お値段は、30gの缶入りだと、だいたい20€(約2400円)〜50€(約6000円)。
日本での 約3倍の値段ですが、「MATCHA 」販売ゼロという日はないそうです。
抹茶入りドリンクの中でも人気があるのは、抹茶ラテや抹茶豆乳、ライムなどの果汁と混ぜた抹茶ジュースです。
「緑茶味の強化 」のために「フレーバー煎茶」と抹茶を自分でミックスさせて飲む人もいるそうです。
また、お米を牛乳で炊き、砂糖と抹茶で味付けした「抹茶ミルクライス
」もドイツ人好みのデザートです。
高級料理店では、抹茶を料理の色づけに用いたり、薬味や隠し味などとして使っています。
抹茶の気品ある香りや、深みのある味や、禅寺の苔を彷彿させる美しい緑色には、高級西洋料理に引けを取らない香と味と色があります。
鎌倉時代に宗に渡った栄西が、禅宗と抹茶を飲む習慣を日本に持ち帰ってから約800年。
時代を経た今、「MATCHA 」として生まれ変わり、「フレーバー煎茶」や「ミルクライス 」や「高級西洋料理」たちと生き生きと楽しく仲良く交流している抹茶。
様々な経験と時を重ねたことにより控えめながらも確固とした自分を持ち、和敬
を心得ている「MATCHA 」を頼もしく誇らしく感じます。
写真の説明: シュツットガルトの紅茶専門店にて抹茶碗を持つ店員さん
隣の棚の上には抹茶や茶杓、茶筅などの茶道具が置かれている。
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