エッセイ 静かなドイツの森の窓から
ドイツの一般的な挨拶の仕方は握手です。
立場が上の人から下の人へ手を差し伸べるのが常識となっています。しかし、仕事絡みのないパーティーなどでは、社会的立場や年齢を問わず、その場にいる者同士が自ら積極的に握手を求め合います。
手を握る強弱は十人十色です。ソフトに「ふわっ」と握る人や、1メートルくらい向こうから助走をつけて「グワシッ!」と握る人、こちらが「イタタタッ!」と悲鳴を上げそうになるほど強く握ってきたり、3分くらいシェイクし続けて止めない人もいます。
他の挨拶の仕方では、家族や親しい友人同士でのハグがあります。ハグ=抱擁。「抱擁」と言うと淫靡な感じがしますが、ハグにいやらしさはありません。ハグは家族愛や友情を確認し合える素晴らしい方法です。
「人間にとって弱点である背中」に手を回すハグは、お互いに信用し合っていないと出来ないものです。
相手のことを「心から大切に思っている。信頼している。共に喜びを分かち合い、
辛い時にはあなたの助けになりたい。」という人間愛に溢れる気持ちを身体で伝い合える 挨拶がハグです。
また、私たち日本人にとっては「えっ!?」とビックリするような挨拶習慣もあります。同性だろうが異性だろうが、親しい友人との挨拶として、「右にチュ、左にチュ」と両方の頬にキスをします。
「挨拶とは言え、嫌いな人ともチュするの!?」と思いませんか?
スキンシップ効果とは不思議なもので、喧嘩をしたり気まずくなった相手と「チュッ、チュッ」と挨拶を交わすことによって、相手に対する気持ちが和らぎ、友人としての距離感が再び縮まる効力があるようです。
何百年も戦争が繰り返されてきたヨーロッパ大陸に住む人々が、「争いごとをせずに仲良くし続ける方法」の一つとして習慣化していったのが、これらの挨拶なのかもしれません。
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