2017年4月27日木曜日

No.13 ドイツの有給休暇制度

エッセイ 静かなドイツの森の窓から 
 

 ドイツの「有給消化率」は100%で、1人当たりが年に取得する有給休暇平均日数は30日です。祝日(10日)と日曜日(52回か53回)の労働は禁止されているので、年間ほぼ100日の休日があります。
 

 ドイツでは「休暇の最低日数に関する法律」があり、企業の管理職には、部下に有給休暇を完全消化させる義務が課されています。一方、社員は上司が組合から批判されないためにも全ての有給休暇を消費します。
 

 それから、「病休」と「有休」は完全に区別されています。日本での一般的なケースのように病気になったからといって有給休暇を使う、ということはあり得ません。
 

 もしも、バカンス中に病気になった場合は?
 

 「有休」ではなく「病休」扱いになり、「健康になった後に有休を取り直す」ことになります。そもそも「有休」の目的は「趣味を楽しんだり、家族や友人達とリラックスする時間を共有したり、心身ともに休養するために使うもの」。負傷したり病気になってしまっては「休暇目的」が果たせないという識見なのです。
 

 ドイツの年間平均労働時間は、約1300時間。日本よりも20%も短いのですが、労働時間あたりのGDP(国内総生産)は、日本の1,5倍もあるのです。
  勤労の「長さ」ではなく「質」が重視されているドイツ。高い集中力を持って合理的かつ効率的、生産的に働いています。
 

 近年は、「長期バカンス中に仕事のメールや電話を完全無視できない人がいる」ことが頻繁に論議されています。
 

 「100%仕事から離れてバカンスを楽しむことにより自分らしさを取り戻し、もっと心に余裕を持って人生を楽しむべき 」という世論が年々高まっています。
 

 「勤労の質」だけでなく、「バカンスの質」も改めて重要視され始めているのです。

2017年4月17日月曜日

Pulse of Europe / my essay No.11 for japanese Newspaper



 On last Sunday I joined the meeting "Pulse of Europe".

 (↓ from the Website of Pulse of Europe)
There has been an alarming increase of radicalization in political life. After the vote for Brexit and the election of Trump, however, we must not remain in shock. There are going to be held presidential elections in the Netherlands on 15 March 2017, in France on 23 April 2017, and in the autumn of 2017 the Bundestag election will take place.
Our aim and contribution
We are convinced that the majority of people believe in the fundamental idea of the European Union and its reformability and development and does not want to sacrifice it to nationalist tendencies.  Nothing less than the protection of an alliance, which secures peace and guarantees individual freedom, justice and legal security are at stake.
Unfortunately, mostly negative and destructive voices are heard in public!
Therefore: Let us become louder and more visible!  We all must now send out positive energy against current tendencies. The European pulse must be felt everywhere!
Everyone is responsible for the failure or the success of our future, no one can make excuses. To hope, everything will go well, is not enough and even dangerous.
Now, before the elections, is the right time to do one´s best – with as many people as possible, and in as many places as possible.
We have a big goal: to gather as many people as possible in Europe, who stand for Europe, and are able to support pro- European forces after the elections. Thus we can form a human chain all across Europe connecting Germany, France and the Netherlands.



 Here is my contribution for a japanese newspaper ↓









2017年4月13日木曜日

essay No.12/ Pulse of Europe (EUのために)

エッセイ 静かなドイツの森の窓から



 4月からシュツットガルト市庁舎の鐘がベートーベンの第九交響曲の「歓喜の歌」を奏でるようになりました。

 
 3月末のイギリスの EU離脱正式通告直後、市民団体「Pulse of Europe 」が 『「EUの歌」である「歓喜の歌」を市庁舎の鐘で奏でる』請願を市に提出し、それが受理されたのです。  

 
 「EU崩壊による平和な生活を失う可能性」という不安に駆られた市民が「もう一度EUの根底にある欧州統合の意義を見直そう」と始めた「Pulse of Europe 」。

 
 毎日曜日、EU諸国内80以上の各都市にて集いを開催しており、シュツットガルト市庁舎広場にても、大勢の老若男女がEUの平和を祈願するスピーチを行なったり聞いたりしています。

  
 EUのルーツを辿ると、もともとの出発点は「何百年もの間ヨーロッパで繰り返されてきた戦争の悲劇はもうコリゴリ。平和を維持しよう。そのためには、国と国がお互いに寛容と尊厳を持って仲良く共に繁栄していこう」という考えでの1952年の欧州石炭鉄鋼共同体の設立でした。

 
 その後、共同体の名前や条約や加盟国が時代と共に変化し、現在のEUに至っています。  

  
 EUの恩恵を受けているのは加盟国民だけではありません。日本人である私も、EUのあるプロジェクトのお陰にて、ドイツからの派遣留学生としてアムステルダム音大で勉強し人生を豊かにしてもらいました。  

 
 あるイギリス人も語っていました、「移動の自由の恩恵を受けて私も国も豊かになった。」と。  

 
 シュツットガルト人口中、約8%EU加盟国民で、44%は世界諸国からの移住民です。 シュツットガルトは工業と芸術の都市ですが、どちらの分野にも、 優れた専門家が多種多様な国から集まっています。 

 
 先日の「Pulse of Europe 」でこう言った人がいました。「多様性は、シュツットガルトの財産、発展、力の源である。」





No.12 Pulse of Europe (EUの平和を祈願)

エッセイ 静かなドイツの森の窓から 

 4月からシュツットガルト市庁舎の鐘がベートーベンの第九交響曲の「歓喜の歌」を奏でるようになりました。
 

 3月末のイギリスの EU離脱正式通告直後、市民団体「Pulse of Europe」 」が 『「 EUの歌」である「歓喜の歌」を市庁舎の鐘で奏でる』請願を市に提出し、それが受理されたのです。
 
 「EU崩壊による平和な生活を失う可能性」という不安に駆られた市民が「もう一度EUの根底にある欧州統合の意義を見直そう」と始めた「Pulse of Europe 」。毎日曜日、EU諸国内80以上の各都市にて集いを開催しており、シュツットガルト市庁舎広場にても、大勢の老若男女がEUの平和を祈願するスピーチを行なったり聞いたりしています。
 

 EUのルーツを辿ると、もともとの出発点は「何百年もの間ヨーロッパで繰り返されてきた戦争の悲劇はもうコリゴリ。平和を維持しよう。そのためには、国と国がお互いに寛容と尊厳を持って仲良く共に繁栄していこう」という考えでの1952年の欧州石炭鉄鋼共同体の設立でした。その後、共同体の名前や条約や加盟国が時代と共に変化し、現在のEUに至っています。
 

 EUの恩恵を受けているのは加盟国民だけではありません。日本人である私も、EUのあるプロジェクトのお陰にて、ドイツからの派遣留学生としてアムステルダム音大で勉強し人生を豊かにしてもらいました。
 

 あるイギリス人も語っていました、「移動の自由の恩恵を受けて私も国も豊かになった。」と。
 

 シュツットガルト人口中、約8%はEU加盟国民で、44%は世界諸国からの移住民です。シュツットガルトは工業と芸術の都市ですが、どちらの分野にも、 優れた専門家が多種多様な国から集まっています。先日の「Pulse of Europe 」でこう言った人がいました。「多様性は、シュツットガルトの財産、発展、力の源である。」